第一コンテク株式会社

土壌汚染調査

土壌・地下水汚染とは

土壌・地下水汚染とは、工場や事業所などにおいて操業時における不用意な取扱いやその排水などの漏えい、排煙に含まれる化学物質の地表面への降下などの原因により、地下へ浸透し、土壌中に蓄積されていく状態を言います。

汚染源から地下へ浸透した化学物質は、地下水に溶解したり、土粒子に吸着されます。地下水に溶解した化学物質は、地下水の流れに乗って移流・拡散され、比重の重い物質はその重力によっても下方へ移動すると考えられます。

特に地下水を通じた汚染の拡散は、広域拡散につながるケースも多く認められ、様々な経路で人の健康に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

また、工場などが立地しない土地であっても、盛土や埋立など敷地内に持ち込まれた土壌が汚染されている場合や隣地から地下水によるもらい汚染などの場合も考えられます。

 土壌汚染の特徴として、

  ・地下の問題であるため、目でみることができず、顕在化しにくい。

  ・地層構成、地下水、化学物質が複雑に絡み合い、汚染が長期化する。

  ・地下水を経由する汚染は、井戸水など周辺まで影響が及ぶ。

 などの特徴があげられます。

土壌汚染調査とは

 土壌汚染調査を行う契機は、以下に示すように土壌汚染対策法に係る調査、不動産取引や企業の環境管理の自主調査など、様々な条件により土壌汚染・地下水調査を実施します。

■土壌汚染対策法

 ・特定施設を廃止するとき

 ・3,000m2以上の土地の形質の変更を行うとき

 ・健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めたとき

■自治体による環境条例

 ・各都道府県において定められている条例に該当するとき

■企業の環境リスクへの取り組み

 ・ISO14000の環境への影響を把握する、環境会計など

 ・土壌汚染による経営リスク回避など

■不動産における評価

 ・土地の取引(土地の売買時)など

 ・不動産資産の鑑定など

土壌汚染調査の概要

土壌汚染対策法は、2003年2月15日より施行されましたが、法に基づかない土壌汚染発見の増加による対策への偏重、汚染土壌の不適正処理による汚染の拡散などの問題を受けて、2010年4月1日大幅な改正が行われております。

土壌汚染対策法の目的

土壌汚染対策法は、適時適切に土壌の汚染状況を把握すること、その土壌汚染による人の健康被害を防止することを目的としています。

土壌汚染対策法の調査契機

・有害物質を製造、使用、処理などしていた特定施設の廃止時(第3条調査)
・3,000m²以上の土地の形質変更の届出によって、当該土地に汚染のおそれがあると都道府県知事が認め、調査の命令が発出された時(第4条調査)
・土壌汚染によって、健康被害が生じるおそれがあると都道府県知事が認め調査の命令が発出された時(第5条調査)

○法改正のポイント

・3,000m²以上の土地の形質変更時には、形質変更に着手する30日前までに届出が必要になります。
・届出された土地において汚染のおそれがあると都道府県知事が認め、調査命令が発出された場合には土壌調査を実施し、報告する義務が発生します。

・規制対象区域が「形質変更時要届出区域」(土地の形質変更時に届出が必要な区域)「要措置区域」(健康被害を防止するための対策が必要な区域)に分類され、必要な措置が明確になりました。

・自主的に行った調査で土壌汚染を発見した場合に、都道府県知事に対し区域指定の申請をすることができるようになりました。

・敷地から搬出される汚染土壌の適正処理の確保のため、汚染土壌処理業者は都道府県知事の許可が必要になりました。運搬、処理の委託、管理票の交付・保存など管理基準が明確になりました。

・指定調査機関の信頼性の向上を図るため、指定の基準を厳格化し、5年毎の更新制度が導入されました。

土壌汚染状況調査及び要措置区域等の指定の流れ

「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂版第2版)」P15より抜粋

土壌汚染対策法に定められている特定有害物質の種類や指定基準及びその主な用途など

土壌汚染対策法に定められている指定に係る基準のうち、汚染状態に関する基準は、以下の基準が定められています。

① 地下水経由の観点からの土壌汚染に係るものとして特定有害物質の検液への溶出量による基準(土壌溶出量基準:mg/L)

② 直接摂取の観点からの土壌汚染に係るものとして特定有害物質の含有量による基準(土壌含有量基準:mg/kg)

③ 地下水の水質汚濁に係る基準(地下水基準:mg/L)

このほか、汚染の除去等の措置を選択する際に使用する土壌溶出量の程度を表す指標(第二溶出量基準)が定められています。

土壌汚染対策法では、土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しない汚染状態にある土壌、すなわち、汚染状態に関する基準に関する適合しない土壌のことを「基準不適合土壌」と定められています。

■第一種特定有害物質

第一種特定有害物質は、揮発性有機化合物(ベンゼンを除く)と呼ばれ、その名のとおり揮発性が高い有機化合物です。また、一部を除いて不燃性であり爆発の危険性が低く、油分の溶解性が高く、分解されにくい安定した物質であることから、電子部品の洗浄、金属部品の前処理、ドライクリーニング溶剤などその利用方法は様々です。

土壌中における特徴は、土壌のごく浅い部分では大気中に揮発する特徴があるが、土壌に浸透した場合は土の粒子の間隙(土壌の間隙)にとどまることがあります。また、粘性が低く、ベンゼンを除いて比重は水よりも大きいことから、砂地盤のような透水性の高い地盤では、深度方向に浸透しやすく、粘土地盤のような透水性の低い地盤の上面に滞留する特徴があります。

■第二種特定有害物質

第二種特定有害物質である重金属類は、炭素と窒素の化合物であるシアンを除いては、すべて自然界に存在する元素であり、有効な鉱物資源です。

特徴として、一般的には水に溶けにくく、土壌に吸着しやすいために、地下に浸透した場合は浅い地盤中に留まり、深部までは拡散にないことが多いと考えられています。ただし、土壌の吸着能力を超えた浸透した場合や六価クロムなど地下水に対する溶解度が高い物質の場合は、地下水とともに広範囲に汚染が広がる可能性があります。

■第三種特定有害物質

第三種特定有害物質は、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を除いては、主に農薬類(除草剤・殺虫剤)として利用されてきました。農薬類は、害虫や除草のために直接作物や土壌に散布されます。使用された農薬は、土壌中のみならず、雨水に溶けだして地下に浸透していきます。

ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、絶縁体や熱媒体などで、トランスやコンデンサーに多く使われてきました。通常の燃却や微生物処理などによる分解は困難です。ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管、処分等については「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が別に定められています。

土壌汚染の流れ

土壌汚染対策法(以下、土対法)が2003年2月15日より施行されたことを受けて、土対法に該当する調査の場合は、環境省の「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン」に基づき調査を実施しますが、この土対法に該当する調査以外に各都道府県における「条例の調査」や自主的に調査を行う「自主調査」があります。

いずれの調査においても、基本的な土壌調査の進め方は同じで、地歴調査で土壌汚染のリスクのある場所や対象となる物質を把握し、実際にサンプリングを行い、分析を進める方法がとられています。なお、自主調査は、土対法に定められている特定有害物質以外の油分やダイオキシン類を対象とすることもあります。

土壌調査の基本的な進め方(フロー)

地歴調査(フェーズⅠ調査)

 地歴調査とは、調査の対象となる土地に関する資料を収集・整理し、その土地の所有者や管理者に土地の利用状況などの聞き取りを行い、これらの情報を整理して現地調査を行い、特定有害物質の特定や土壌汚染のおそれを判断する作業を言います。

地歴調査は、土壌調査の基本であり、調査内容を決めていく重要なプロセスのひとつです。改正された土壌汚染対策法では、地歴調査の実施が義務付けられています。

 収集する資料は、土地の登記簿、住宅地図、地形図、空中写真、公的に届け出た資料や一般に公開している資料(インターネットなど)、その土地の変遷を調べる上で重要となる資料を可能な限り過去に遡り収集し、年代ごとに整理を行います。
 聞き取り調査は、その土地の所有者や事業場であれば操業関係者からその土地での操業に関する内容や使用していた物質など、土壌汚染のおそれを推定するために有効な情報の聞き取りを行います。
 現地調査は、資料調査と聞き取り調査で相違があった場合など、現地で直接目視による調査を行い、その土地における土壌汚染のおそれを推定するために有効な情報の確認を行います。
これらの調査を行うことにより、調査の対象となる土地において土地の利用状況、有害物質の使用状況、その他土壌汚染のリスクを推定するために有効な情報に基づき、有害物質の特定やその使用等の範囲の推定(試料採取を行う範囲)を行います。

土壌概況調査(フェーズⅡ調査)

土壌ガス調査(揮発性有機化合物:VOC)及び表層土壌調査(重金属類、農薬等)の2つの調査方法により、調査対象地内における土壌汚染の有無、平面的な分布、その種類の特定などを行います。

土壌ガス調査

・ 揮発性有機化合物(VOC)は、気化して地表面付近に存在しているために、地表面から80~100㎝程度の深さまで削孔して、そこにパイプを入れて吸引を行います。なお、地表面がアスファルト、コンクリートなどで舗装されている場合でも、地表面を基準として深さを設定します。

・ ガスの採取は、対象物質が吸着しないステンレス管等の保護管を上部50㎝付近まで挿入して、ガスを孔内に充填したのちに捕集バック(テドラーパック)などを用いて吸引ポンプ等により採取を行います。

表層土壌調査

・ 重金属類及び農薬類は、地表面付近にそのほとんどが集中しているため、表層(0~5㎝)とその下(5~50㎝)の土壌採取を行います。地表から50㎝までの土壌を採取して分析を行います。ただし、地下ピットなど地歴調査において土壌汚染の可能性のある深度が判明している場合はその深度を基準に50㎝区間の試料採取を行います。

・ 工場内など地表面がコンクリートなどで覆われている場合やアスファルト(舗+砕石)などは、カッターやピックなどにより除去したのち、採取を行います。

・ 採取器具としては、移植ゴテ、ダブルスコップなどが使用されますが、試料を採取する地点が多い場合や対象地盤が固い場合などは、ボーリングマシン等を使用します。

・ 採取した土壌は、ポリ袋やガラス瓶に収めます。採取した試料は、分析室で風乾後、粒径2㎜以上のものを取り除いて1:1で土壌を均等に混合し、分析試料とします。

詳細調査(フェーズⅢ調査)

土壌概況調査で汚染が確認された場所や物質について、平面的・立体的に絞り込むことにより、調査対象地における汚染土壌の状況(深さ方向の広がりなど)、地下水汚染の有無を確認します。

ボーリングマシンによる深度方向への掘削は、基本的に10mまでの試料の採取を行います。ただし、10m未満に厚い粘土層が分布している場合などは、その粘土層までの試料を採取します。採取した試料(コア)は、分析を行うだけでなく、色調、混入物(大きさ、形状、分布状況)、臭気などを観察し、今後の土壌汚染対策に役立てます。また、試料採取を行ったボーリング孔を利用して、地下水位の観測孔や採取孔などとして利用することもあります。

ご注文・お問い合わせ